私は貧乏な子供時代を過ごしました。
それ自体は別にどうでもいいのですが、その為に培われた事があります。
それは想像力です。暇を持て余しては図書館に入り浸って本を読む様になり、自然と想像力が逞しくなったのです。
大人になってからはその想像力ゆえに苦しい事も多々ありました。
まず辛い経験をした人と同じ気持ちになってしまう事です。
よせばいいのに戦争の本をたくさん読み、まるで戦場の恐怖や銃器の音や人間の血や内臓の臭いまで自分の体に入り込む感覚になり、しばらくはご飯が食べられなくなりました。
そしてその時に、正義の為の戦争や問題解決の為の戦争など皆無だと思いました。
同時に戦犯としての日本人である自分も強く意識しました。
加害者はやった事をすぐ忘れますが、被害者はやられた事を死ぬまで覚えているということも学びました。
動物に対しても感情は同じで、虐待や自然破壊など、人間がやった取り返しのつかない事を申し訳ないと思う事が沢山あります。
あまりに辛い時はそういう情報を目に入れないようにするほどです。
私が最近危惧するのは想像力が極端に無い人がいるという事実です。
「何で相手の立場に立てないのだろう。」と思う事が多くなりました。
例えば障碍者の方を見た時。
私は「あの人も頑張っているから私も頑張らなければ。」と思います。
友人は「あの人と比べれば自分は恵まれている。」と思うそうです。
驚きました。
自分が一生障害を持たないとなぜ言い切れるのでしょう?
子供を産んだ時もそうです。
私は「どんな子が生まれても絶対育てる!」と思いました。障害があっても育てる覚悟を決めていました。
友人は「健康な子が生まれて当然。」だそうです。
友人の様な考え方が多数かもしれません。私は心配性なのかもしれません。
でもこの想像力は、弱い人の立場にたつという意味ではとても大切なものだと思うのですが。